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一口メモ |
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![]() 正しくは、「就業規則を労働者に周知した時」です(周知とは、印刷された書面を配布する以外にも、例えば、従業員が自由に使える会社のパソコンにデータとして入れておくことや、従業員が自由にアクセスできるウェブページ上に掲載することでも足ります。つまり、従業員がいつでも読める状態であることを指します)。 したがって、就業規則を監督署に提出したとしても、社長の机の引き出しに大切にしまったままの状態では何の効力もありません。逆に、従業員に周知さえしていれば、たとえ監督署に提出していなくとも、その就業規則の内容は当然に有効です(就業規則の届出義務違反としての罰則の対象にはなってしまいますが・・・)。 |
以上のように、就業規則は、いざという時に非常に大きな意味を持つわけですが、作成する段階は“いざという時”ではないので、なかなかその重要性を把握できないのが実情であり、そこが盲点となっています。
近年は、労働者側もどんどん権利を主張してくる時代であり、実際、会社と労働者のトラブルは激増しています。「トラブルが起きてから整備しよう」などと考えていると、最初の一件が前例となり、次々とトラブルが連鎖してしまう可能性があります。
トラブルになった時には“後の祭り”とならないためにも、事前にきちんとした就業規則を作成しておくことをおすすめします。
しかも、就業規則を作成する権利は、法律上、会社側に与えられているわけですから、会社としてはこれを利用しない手はありません。
例えば、解雇する場合の理由などは、ある意味で「書いたもん勝ち」の部分もありますので(従業員に全く非が無くとも、<会社の業績が悪化した場合>なども当然に合理的な理由です)、できるだけ早めに整備しておくことがいざという時に会社を守ることにつながります。
一口メモ |
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![]() それは、国が明示しているモデル就業規則は、えてして労働者側に有利に作られているということです(なかには、最初から定年が65歳と記載されているとんでもないものもありますが、こんな規則をうっかり採用すれば、後で大変なことになる可能性があります)。 専門家が有料で作る就業規則と国が無料で配布する就業規則の決定的な違いはこの部分にあります。 もちろん、無料だから悪い・専門家に作ってもらったから良い、というわけではありませんが、いざという時に会社を守る就業規則を望むのであれば、これらのモデル就業規則を使用する時には入念にカスタマイズしてから使うように注意しましょう。 |
就業規則には、トラブルの未然防止という観点以外の効果も期待できます。
たとえば、弊事務所が関与した会社の中にも、最初は助成金の申請に必要だという理由だけで嫌々ながら就業規則を作成しそれを配布した結果、それまでダラダラと仕事をしていた従業員がテキパキと仕事をするようになったという例があります(<勤務成績又は業務能率が著しく不良、その他従業員として不都合な行為があったときは、解雇することがある>などと記載された文書を手にすれば、やはり、ダメ社員の勤労意識にも少なからず影響を与えたようです)。
規則の存在が、有形無形の様々な場面で組織の規律を守るのです。
上記の例ではありませんが、「うちはアットホームな雰囲気がウリだから、規則っていうは馴染まないんだよ」という社長さんも、普段アットホームな雰囲気だからこそ口に出して言えないような厳しいことも、書面であれば伝えられるのではないでしょうか。
これも、就業規則の使い方の一つです。
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