社労士/社会保険労務士鈴木労務経営事務所(東京都新宿区)

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就業規則について

■就業規則とは

従業規則就業規則とは、その事業所における労働条件や様々なルールを定めたものであり、簡単にいえば、個別の雇用契約書には書ききれないものを一冊にまとめたものといえます(もちろん、必ずしも一冊にまとめる必要はなく、例えば、賃金規定・慶弔見舞金規定・休暇規定・パートタイマー規定・・・のように別規定として定めても構いません)。

就業規則が無いと、例えば、「7月に入社した従業員が夏のボーナスを要求した」「支給日直前に退社した従業員がボーナスを要求した」「遅刻ばかりして勤務態度が悪い従業員の給与をカットしたところ、納得がいかないと言われた」「退職金をたんまりと支払った後で、その従業員の業務上横領が発覚した」・・・等でトラブルとなった場合、その拠りどころとなるものがないため、争いがいつまで経っても解決しないことになります(これらが雇用契約書に事細かく記載されていることはまず考えられませんので)。

就業規則をしっかりと整備しておけば、上記のようなトラブルとなった時には、それに従うことになるので、無用なトラブルを防ぐことができます。

■就業規則の法的性質

就業規則の法的な性質については、判例上も学説上も微妙に意見が分かれており、はっきりとしたものはありませんが、判例上は、「労働者がその存在と内容を知っていたかどうかを問わず、また、個別に同意をしたかどうかを問わず、当然にその適用を受ける」という最高裁の判断が有名です。まるで保険の約款のような(笑)解釈ですね。

就業規則は、従業員の同意が無くとも有効ですので(手続上は、労働者を代表する者1名の意見を聞くだけでよく、それが全面的反対であっても問題ありません)、会社が一方的に作った就業規則が全従業員を縛り付けるという解釈にはやや疑問が付くものの、現在はこの考え方が通例となっています。

もちろん、内容が適法で合理的であることが前提条件ではありますが、就業規則の記載内容は、一般に認知されているよりもはるかに強い効力があることは間違いないといえるでしょう。

また、裁判にまで発展しなくとも、従業員が労働基準監督署に相談した場合や労働局の紛争調整委員会に持ち込まれた場合についても、同様に、就業規則の記載内容がかなり大きなウエイトを占めます(裁判以外の方法で解決を図る場合であっても、結局は、「裁判になったらどうなるか」という視点で問われるのは当然のことといえるでしょう)。

※特に中小企業においては、なかなか裁判というイメージは沸かないかもしれませんが、上記の点は非常に重要なことです。心情的に納得できず感情的になっていた従業員も、「裁判までしても勝ち目がない」と分かれば、案外簡単に納得してしまうものです。

一口メモ
就業規則の効力の発生時点について、「就業規則を労働基準監督署に届け出た時」と誤解している方が人事担当者でも非常に多いのですが、これは誤りです。

正しくは、「就業規則を労働者に周知した時」です(周知とは、印刷された書面を配布する以外にも、例えば、従業員が自由に使える会社のパソコンにデータとして入れておくことや、従業員が自由にアクセスできるウェブページ上に掲載することでも足ります。つまり、従業員がいつでも読める状態であることを指します)。

したがって、就業規則を監督署に提出したとしても、社長の机の引き出しに大切にしまったままの状態では何の効力もありません。逆に、従業員に周知さえしていれば、たとえ監督署に提出していなくとも、その就業規則の内容は当然に有効です(就業規則の届出義務違反としての罰則の対象にはなってしまいますが・・・)。

■就業規則の作成

以上のように、就業規則は、いざという時に非常に大きな意味を持つわけですが、作成する段階は“いざという時”ではないので、なかなかその重要性を把握できないのが実情であり、そこが盲点となっています。

近年は、労働者側もどんどん権利を主張してくる時代であり、実際、会社と労働者のトラブルは激増しています。「トラブルが起きてから整備しよう」などと考えていると、最初の一件が前例となり、次々とトラブルが連鎖してしまう可能性があります。

トラブルになった時には“後の祭り”とならないためにも、事前にきちんとした就業規則を作成しておくことをおすすめします

しかも、就業規則を作成する権利は、法律上、会社側に与えられているわけですから、会社としてはこれを利用しない手はありません。

例えば、解雇する場合の理由などは、ある意味で「書いたもん勝ち」の部分もありますので(従業員に全く非が無くとも、<会社の業績が悪化した場合>なども当然に合理的な理由です)、できるだけ早めに整備しておくことがいざという時に会社を守ることにつながります。

一口メモ
役所等で配布されているモデル就業規則(現在は官庁のホームページ上でも無料でダウンロードが可能)をそのまま使用している会社をたまに見かけますが、これらの就業規則には“落とし穴”があることに注意が必要です。

それは、国が明示しているモデル就業規則は、えてして労働者側に有利に作られているということです(なかには、最初から定年が65歳と記載されているとんでもないものもありますが、こんな規則をうっかり採用すれば、後で大変なことになる可能性があります)。

専門家が有料で作る就業規則と国が無料で配布する就業規則の決定的な違いはこの部分にあります。

もちろん、無料だから悪い・専門家に作ってもらったから良い、というわけではありませんが、いざという時に会社を守る就業規則を望むのであれば、これらのモデル就業規則を使用する時には入念にカスタマイズしてから使うように注意しましょう。

■就業規則の副次的効果

就業規則には、トラブルの未然防止という観点以外の効果も期待できます。

たとえば、弊事務所が関与した会社の中にも、最初は助成金の申請に必要だという理由だけで嫌々ながら就業規則を作成しそれを配布した結果、それまでダラダラと仕事をしていた従業員がテキパキと仕事をするようになったという例があります(<勤務成績又は業務能率が著しく不良、その他従業員として不都合な行為があったときは、解雇することがある>などと記載された文書を手にすれば、やはり、ダメ社員の勤労意識にも少なからず影響を与えたようです)。

規則の存在が、有形無形の様々な場面で組織の規律を守るのです。

上記の例ではありませんが、「うちはアットホームな雰囲気がウリだから、規則っていうは馴染まないんだよ」という社長さんも、普段アットホームな雰囲気だからこそ口に出して言えないような厳しいことも、書面であれば伝えられるのではないでしょうか。

これも、就業規則の使い方の一つです。

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